聞くだけ防災から”考えて動く”防災へ~ゲーム参加型机上訓練で想定を増やそう
12月になってしまってますが、これは11月のブログなのですよw
とはいえ 冒頭は12/10に実施される NPO法人事業継続推進機構(BCAO)20周年記念事業 プレイベントin大阪!のご紹介から。よくBCPチームのブログでも登場するBCAO 実は私も幹事としてお手伝いさせていただいている団体です。来年20周年を迎えるということで いつも以上に内容の濃い事業継続のセミナーを予定しています。それに先駆けて 能登地震・能登豪雨を経験された本谷 一知 氏/もとやスーパー社長のお話や、記憶に新しい大規模なサイバー攻撃についてのお話など 中小企業にとっても 生活をする市民としても学びの深い時間を提供させていただきます。
◆日時:2025年12月10日(水)13:30~16:50
◆場所:大阪大学 中之島センター セミナー室6C+D &Zoom オンラインのハイブリッド開催
◆対象:企業・団体の経営者、防災、危機管理、BC(事業継続)の担当
◆定員:リアル会場:50 名 +オンライン:50 名
◆参加費:無料
◆主催:特定非営利活動法人事業継続推進機構
◆後援:大阪府
◆申し込み:コチラ
私も現地聴講&お手伝いしています!
11月の防災学習
阪神淡路大震災を22歳の時に経験した私。今年は30年の節目の年。実は私 阪神淡路震災の資料館は未経験だったので、BCAOの先輩で日本防災士会大阪支部をれている田中副支部長にアテンドをお願いして
兵庫県の「野島断層保存館」と「人と防災未来センター」を見学してきました。田中先輩は長年、防災やBCPの現場で活躍されている方で、お話をうかがいながら現地を歩けたことはとても貴重な経験でした。
野島断層保存館では、地震の力で地面がそのままずれてしまった土地を、実際に目の前で見ることができました。一見静かな住宅地の一角に、地球のエネルギーが刻んだ「生々しい跡」が今も残されていて、言葉を失うほどの迫力でした。
ここを訪れて、「被災地」というニュースで見てきた言葉が、ぐっと身近に感じられた気がします。
その後に訪れた人と防災未来センターでは、震災当時の映像や、被災された方々の証言展示を拝見しました。語り手の声の一つひとつに、あの日の混乱や悲しみ、そして前を向く力が詰まっていて胸が熱くなりました。
展示を見ながら、「備える」という言葉の重みをあらためて考えさせられました。
今回の見学を通して、BCPの取り組みは“書類づくり”ではなく、“人の思いをつなぐこと”だと強く感じました。
この学びを踏まえ、11月後半にはチームでカードゲーム型のBCP訓練を実施しました。その様子は次の記事でご紹介します。
なぜカードゲーム型訓練か
2025年春のBCP机上訓練では、「カードゲーム型訓練」に挑戦しました。
なぜカードゲームなのかというと――目的は3つあります。
まずひとつは、「想定を増やす」こと。
地震や停電など、実際の災害時に起こりうる出来事は想像以上に多く、しかも状況によって優先順位や対応が変わります。カードを引くたびに「そんなことも起きるの!?」と驚きながら、現実的な判断を積み重ねていくことで、自然と対応力が広がっていきます。
ふたつ目は、「参加者が自分ごととして考える」こと。
単なる講義型の研修では、“分かる”と“できる”の間に大きなギャップが残ります。ゲーム形式なら「もし自分が現場にいたら」「この判断を上司が待っていたら」と、自然に自分の立場で考えられるのが特徴です。
そして最後は、「楽しいから記憶に残る」こと。
チームで相談したり、笑いが起きたり、思わず「それは焦るなぁ!」なんて声が出たり。そんな明るい雰囲気の中で行うことで、防災の知識が“心に残る経験”になります。
実際に社内で行った訓練では、カードで出たトラブルをもとにQ&A方式で意見を出し合い、「備品の置き場所を見直そう」「災害時の連絡網をもう一度確認しよう」といった具体的な話に発展しました。
参加した社員からは、「聞くだけより覚えやすい」「自分ならどう動くかを考えられた」といった感想が多く寄せられました。
堅苦しいテーマを“みんなで考える”時間に変えられるのが、このカードゲーム型訓練の魅力です。
今後も楽しく実践的な形で、BCPの力を高めていきたいと思います。
オススメ防災ゲーム
- 国土交通省「このつぎなにがおきるかな?」
津波や水害・土砂災害などで、災害時に起こる危険な状況と、それを防ぐ行動をカードでつなげて学ぶゲームで、公式サイトからカードデータをダウンロードして印刷利用できます。
御社の訓練では、水害・土砂災害パートをピックアップして、社員寮・車両・ヤード周辺を想定したシナリオにアレンジしやすいです。 - 避難所運営ゲーム「HUG」
静岡県が開発した図上訓練で、避難所の平面図と避難者カードを使い、属性や事情を考えながら部屋割り・物資配置・トラブル対応などを話し合うゲームです。
事業所を「一時避難所」と想定し、障がいのある社員・家族、外国人実習生なども含めて受け入れるケースを考えると、御社の“環境×福祉×人材”にもつながります。 - 災害対応カードゲーム教材「クロスロード」
YES/NOで意思決定を迫られるカードをもとに、多様な価値観を共有するゲームで、内閣府等でも紹介されている教材です。
企業向けには、出勤継続・家族優先・在庫優先など“正解のないジレンマ”を話し合えるので、管理職研修や委員会向けに向いています。
考えて動ける防災訓練へ
災害対応は、事業継続計画をつくっただけ、マニュアルを読むだけでは身につきません。 「このつぎなにがおきるかな?」「HUG」「クロスロード」といった参加型教材は、想像し、意見を交わしながら、自分たちの現場に置き換えて行動を考えるきっかけになります。 水害や土砂災害の危険を想定し、社員寮やヤード、車両の安全を確認する。 一時避難所として事業所を運営する可能性を考え、社員や家族、外国人実習生、地域の方々を受け入れる体制を話し合う。 そして、緊急時に何を優先するかをチームで共有する――。 こうした「考える・話し合う・試す」積み重ねが、私たちの職場と地域を守る力になります。 今後の訓練でも、社員一人ひとりが主体的に防災に向き合う機会をつくっていきたいと思います。
